Lens Impression
「Optis」。
この名前を知るオールドレンズファンはそれほど多くはないと思います。
でも、もしあなたが「Angenieux」や「Kinoptik」といったフランスのレンズメーカーとそのレンズに興味があるのなら、ぜひ知っておいてください。
1930年ごろ、後にフランス3大レンズメーカーと呼ばれるようになる「Angenieux、Kinoptik、SOM Berthiot」のうち、すでに存在していたのは、1857年にClaude
Berthiotによって創業され、Ottica Lacour-Berthiotという名称を経て、1913年に改名されていたSOM Berthiotだけで、他の2社はまだ産声を上げていませんでした。
1930年、「Georges Grosset と Georges Perthuis」という2人の若者が、「Optis」という光学企業に就職し、2年間活動したという記録が残っています。2人は1932年に独立し共同で新たな光学研究所をスタートさせました。たった2人だけのスタートだったようです。それが「Kinoptik」社です。Kinoptikという名称をいつから使用したのかどうかは分かりませんが、かなり初期の製造番号のレンズから使われています。
この2人が去った「Optis」社に新たな若者が入社してきます。その名は「Pierre Angenieux」。Angenieux社の創業者です。
彼はそれ以前フランス最大の映像機器会社Patheでキャリアを積んでいましたので、すぐにシネマレンズ部門のチーフを務め、2年後に退社し、自分の会社「Angenieux」社を立ち上げます。
そう、「Optis」社はのちの近代フランスレンズメーカーの「ゆりかご」的な役割を果たしました。しかし、、、、、、
「Optis」社については何も分かっていません。その会社があった場所だけは判明していますが、会社の概要、歴史など、なんら資料が見つからないのです。
ぜひご存じの方がありましたら、教えてください。
今回のレンズはOptis Anastigmat 5cm f3.5です。当時としては5cmという焦点距離は非常に珍しいですね。André Debrie
model Septという35mmシネカメラ+ハーフサイズの写真機としてマルチな機能をもったカメラに装着されていたレンズです。構成はトリプレット。
いかにもf3.5のトリプレットらしく、中心はしっかり描写しますが、全体として柔らかく、周辺がざわっとする楽しい描写のレンズとなっています。
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